トヨタ/レクサス

純正オーディオの音を根本的に良くする方法



現在のトヨタ自動車の車は、大半がディスプレイオーディオ標準装備となり、市販の優秀なナビやオーディオが装着しにくくなっています。
その標準装備されたオーディオの音質が、音楽・オーディオ愛好家にとっては非常に評判悪く、専門店への相談が絶えません。

無論、音質や音楽にご興味のない方にとっては、問題のない音質なのかもしれませんが、一度でも良い音で、音楽を感動的に楽しんだことのある人からすれば、受け入れることのできない劣悪な音質なのでしょう。

ではなぜ、トヨタやレクサスの純正オーディオの音質が劣悪で、どうすればそれを改善できるのか、それをじっくりと紐解いていきましょう。



純正オーディオの最大の問題点は、
一部周波数の片チャンネル逆相エフェクトを行っている。

スピーカーは、プラスとマイナスを逆に接続しても、普通に音が出ます。
ステレオ再生は左右二つのスピーカーで音を鳴らし、音響空間を再現するのですが、左右のスピーカーがどちらとも逆接続であっても、何も変わりません。しかしどちらか片方だけが逆接続になると、音場感が失われ、空間印象のない、非常に気持ちの悪い音になってしまいます。

図のように、スピーカーの線がプラスマイナス正しく接続されている状態であれば、目の前に「音場」が現れます。これは薄いブルーのエリアを感じ取ることが出来、目の前にこの広さの空間が現れることを意味します。そうしてボーカルや楽器は実際の演奏位置に現れ、生々しく、リアルに再生されます。これを「音像定位」と言います。そして、左右のスピーカーのプラスマイナスが正しく接続されている状態は、「正相の状態」と言います。

片方のスピーカーだけ、プラスマイナス逆に接続されている状態を、「逆相接続」と呼びます。この場合、音場も音像定位も感じられず、音は一気にリアルさを失い、気持ち悪い感じさえします。二つのスピーカーで音場感を出さず、それぞれが独立して音を出しているかのように聞こえます。打ち消し合いが発生するため、全体的に音が薄く、低音はほとんどなくなります。

カーオーディオの場合、スピーカーの中心で音楽を聴くことが出来ません。それ故に、スピーカーを片方逆接続したときに近い音の出方になります。ステレオ感がなくなり、音場、定位がほとんどなくなります。つまりステレオ効果を発揮できていません。

これがカーオーディオの構造的な問題点です。

この原因は左右スピーカー間に距離差ができるためで、中低音域(120Hz~300Hz)あたりが距離差により逆相化し、打ち消し合いが生じますが、低音は損なわれません。音の感じも、片方を逆接続した時みたいに薄く感じることもありません。

これが昔ながらのカーオーディオの音の出方であり、DSPの登場以前は、この状態で音質の向上を楽しんでいました。従ってこの音に魅力を感じている人たちもいます。この状態で音楽を楽しむ人たちは「アナログ派」と呼ばれることもあります。

DSP機能を駆使して、適切に調整を行うと、構造的な問題を持つカーオーディオであっても、ステレオ再生の正常な音場、音像定位を再生することが出来、リアルで生々しい音を聴くことが出来ます。カーオーディオの歴史上、DSPのおかげで到達した最も良いと言える音で、ステレオ効果を最大限楽しめる、最良の状態です。



DSPについての詳しい説明は
エモーションHPの
<デジタルプロセッサーの極意>をご参照ください。



ところが、純正オーディオは、DSPを用いません。DSPなしのカーオーディオが逆相接続したかのような音になることを逆手にとって、一部周波数が逆になるようにエフェクト(音の加工)を行うことによって、なんとなくステレオ効果を発揮していそうな音を作ろうとしています。これが気持ち悪さの原因です。

一応、音像定位らしき状態は出現しますが、全くリアルではなく膨らんだような感じで聞こえます。音も薄くなり、エネルギー感が減ります。音場に奥行き感がなく、左右に入り込んだような感じとなり、気持ち悪さを覚えます。
この気持ち悪さに比べたら、まだシンプルに昔ながらの手法でカーオーディオの音を出した方が遥かに魅力的です。


これは、少なくとも音楽をよい音で楽しみたいのであれば、絶対にやってはならないエフェクト(音の加工)です。

しかもこれは、トヨタ・レクサスだけではなく、マツダやスズキの一部車種にも導入されています。
まずいことに純正オーディオのトレンドとなりつつあるのです。


もう一つの大きな問題点は、

プリセットイコライザーが搭載されている事

しかも強烈なドンシャリで。

プリセットイコライザーとは、誰も調整できないイコライザーがすでにセットされている状態を指します。

車室内特性に合わせて、適切なイコライジングを・・・・という宣伝文句を聞くと、いかにも車種別に最適な調整が施されていると思いがちですが、その実、極端な“ドンシャリ”調整がなされている場合がほとんどです。いや、、、、全部かもしれません、、、、

ドンシャリとは、低音と高音を極端に持ち上げ、低音の「ドン」と高音の「シャリ」ばかりが強く聴こえるように調整された状態を言います。

ドンシャリは、小音量時には良い音に感じることもありますが、音楽再生の要素として非常に重要な中音域のエネルギーが脆く、ボーカルのニュアンスや演奏者の感情表現が伝わりにくくなり、音楽再生としては不適切です。
しかし、高音質なオーディオを聴きなれていない人には好まれることもあります。恐らくはそのあたりを狙ったものだろうと推察されます。言い方は悪いですが、ドンシャリは素人だましの手法です。

残念ながら、ドンシャリのプリセットイコライザーは、既に純正カーオーディオのトレンドとなってしまっています。

片チャンネル一部周波数逆相エフェクトにせよ、プリセットイコライザーにせよ。オフにできればいいのですよ。ピュアに音楽を楽しみたいユーザー様もいらっしゃるわけですし、純正オーディオにDSPなどを装着して、より高音質なカーオーディオを装着したいとお考えのユーザー様もいらっしゃるわけです。そんな時に画面のどこかにON OFFスイッチがあって、これらのエフェクトをオフにできればどれほど良いか、

しかしこういった純正のエフェクトの最大の問題点は、

オフにできないというところにあるのです。

これはもう、完全にユーザーの嗜好を無視した暴挙とも言えます。言い方は悪いですが、素人だましの音を「これでも聴いておけばいい」とばかりに、耳の肥えた音楽ファンに押し付けているわけですよ。これはコンセプトとしても決して良いものではありません。



この解決策は、純正オーディオで音楽を再生するのではなく、別の音の良い音楽プレイヤーで再生すること。
つまり純正をガン無視します。

市販の優秀なDSPやパワーアンプ、スピーカーなどを装着しても、音楽再生を純正オーディオで行う以上、これらのエフェクトを避けることが出来ません。DSPを調整する腕が良い人であれば、ある程度までは改善できますが、残念ながら、これを書いている2024年の段階では、純正のエフェクトを完全に消し去ることのできるDSPは存在していません。

最も効果的なのは、音楽再生に純正オーディオを用いないことです。
スマホやウオークマンなどのDAPで音楽を再生すればよい訳ですが、これらも純正オーディオに繋いでしまえば、純正のエフェクトを通ってしまいます。ですのでスマホやDAPを直接DSPに接続すれば万事OK、純正オーディオのエフェクトを通さずに音楽再生できますので、非常に良い音にすることが出来ます。しかしそれにはユーザー様に我慢を強いるような問題点も発生します。


ナビの案内時に、案内音声をどうするのか。
スマホやDAPで聴いている時に、ナビの案内音声は出ません。


要するに純正の音が悪い訳ですから、DSPを装着して直接DAPにスマホやDAPなどを外部入力し、そちらで音楽を再生すれば、エフェクトまみれの純正で音楽を再生しなくても済むわけです。ところがスマホなどの外部入力で音楽を楽しんでいる時に、純正オーディオでナビ案内を行っている時は、ナビの案内音声が聞こえません。
ナビの案内使用時には、音が悪くても純正オーディオの方で音楽を聴かなければならなくなります。

要するに、ナビの音声案内は、純正オーディオから出てくるのであり、スマホやDAPなどのDSP外部入力からは出てきません。純正オーディオで音楽を再生するか、スマホやDAPで音楽を再生するかは、コントローラーによって切り替えられ、純正オーディオで音楽を聴いている時しか、ナビの音声案内は聞こえないわけです。ただし、地図画面はちゃんと動いていますけどね。

しかしそもそも純正に多く採用され始めたディスプレイオーディオって何なのでしょうか。何故ナビと呼ばないのでしょうか。


そもそもディスプレイオーディオって何?


ディスプレイオーディオとは、ナビの地図情報を外部に依存するナビのこと。要するに、ナビ内部のメモリーに地図情報を持っていないわけです。外部、つまりネット上にある地図を使って道案内するナビのことです。

こうすることで、ナビ本体に地図情報を持たなくてよいことから、価格を安くすることが出来、地図更新もしなくてよくなります。

ネット回線とは、主にスマホを介して接続します。ネット上にあるグーグル・マップなどの地図データーに自車位置を置いて道案内する訳です。スマホとの連携が可能となるために、ディスプレイオーディオにはアップルカープレイやアンドロイドオートなどのアプリがインストールされています。

ということは、カープレイやアンドロイドオートで動くデバイスであれば、何もスマホじゃなくてもよい訳です。

< OTTOCAST(オット・キャスト)という選択 >


OTTO CASTを接続するのに必要な通信機器の例

OTTO CAST/オットキャスト(OTTO Ai box 2022)は、Android12をベースとした機器で、ディスプレイオーディオのUSB端子に刺すだけで、ディスプレイオーディオをスマホやタブレットのように使用できるようにする端末です。Google Mapやヤフーカーナビなども使えるようになるため、ディスプレイオーディオのナビ機能は使わなくて済みます。

なによりyouTubeも視聴可能となるし、spotifyをはじめとした様々な音楽ストリーミングサービスも使用できます。Amazonプライム、TVER、ABEMA、hulu、Disney+なども契約があれば、接続後IDとPWを入力することで視聴可能となります。

ただし、オットキャストは自身で通信することはできませんので、車載WIFIルーターかスマホのテザリング等が必要となります。車載wifiルーターであればデータ容量を気にせず使用出来るのでお勧めです。


ここからがポイントです。

これだけでは音の悪い純正ディスプレイオーディオを経由してしまいますので、音を良くすることが出来ません。そこで細工をします。

純正ディスプレイオーディオには映像のみを出力させ、オットキャストの音声のみ、DSPに直接入力するという方法が可能なのです。


HDMI分離機を用いて、オットキャストのデジタル出力を取り出し、
DSPへ直接デジタル入力する

オットキャストには、HDMI出力がついているモデルを選びます。 本来リアモニターやサブモニター用として設けられたものですが、これを利用します。

オットキャストのUSBは純正ディスプレイオーディオに繋ぎますので、映像はディスプレイオーディオの液晶画面に表示されます。

音声はオットキャストのHDMI出力をHDMI分離機にてデジタル音声だけを分離し、DSPに直接入力し、DSPのコントローラーで外部入力に切り替えて音を出せば、純正のエフェクトを通らない、ピュアな音声のまま、オーディオ機器から出力されます。


カーナビも、Google Mapやヤフーカーナビなど、オットキャストのアプリを使用すれば音声案内が出ますし、音楽再生アプリで音楽を聴きながら、ナビの音声案内が割り込みで入ってきます。


要するに、普通のカーナビと同じ使い方ができるようになり、純正ディスプレイオーディオの音響回路のみを完全に無視した、「ガン無視」したオーディオシステムが構築できるわけです。




~純正ガン無視オーディオ~



これがトヨタ・レクサスの純正ディスプレイオーディオに設定された
やってはいけないエフェクトを回避する効果的な方法です。



オットキャストにできないのは、ハイレゾ音源を再生すること。
ハイレゾ音源を楽しまれたい方は、
ハイレゾ再生可能なオーディオユニットを追加する必要があります。

そのため、複数の入力が可能なDSPを選ぶこと

ハイレゾ音源再生を望まれる方は、ウオークマンやFiio、ibassoなどのハイレゾ再生DAP、またはハイレゾ対応USBプレイヤー、或いはその両方を設置する必要があります。

それを可能とするDSPが、HELIXのアンプレスの三機種です(2024年4月現在)

HELIXのDSPについて詳しくお知りになられたい方はこちら



これらのDSPには、純正オーディオを接続するMAIN入力に加え、光デジタル入力、同軸デジタル入力、USB入力(オプションのモジュール使用)が可能となるため、以下のような接続ができます。

・MAIN入力 → 純正オーディオ
・同軸デジタル入力 → オットキャスト(HDMI分離器経由)
・光デジタル入力 → ハイレゾメディアプレイヤー(またはBlue Toothユニット)
・USB入力 → スマホ、DAP



ハイレゾ音源を楽しまれたい方は、メディアプレイヤーの導入がお勧めです。

GOLD HORN ゴールドホルン メディアプレイヤー G2 PRO(旧品番G1)とパネルコントローラ


メディアプレイヤーとは、メモリーディバイス(主にUSBメモリ)を接続し、それをコントロールする機器のことを言いますが、昨今ではスマホなどの通信ディバイスを用い、ストリーミング再生を行う方法と、ハイレゾなどの高音質音源をメモリーに入れてメディアプレイヤーで再生する方法との二極化が進みつつあるようです。

ご予算や目的に応じてDSPに何を入力するかを選択しましょう。



DSPへ何を入力するか、するとどうなるか

〇オットキャストのみの入力

最もシンプルで、純正オーディオの機能の多くをオットキャストに代替できるため、純正ガン無視が実現できます。ナビ案内時でもオットキャストのコンテンツで音楽その他を楽しめます。音楽鑑賞はストリーミング再生が基本となります。ただしWiFi環境が必須となります。

〇スマホまたはDAPのみ入力

DAPの場合、メディアに入れた音源データーかストリーミング、スマホの場合はストリーミング再生が音楽鑑賞の主たる方法となります。Blue Toothユニットを用いてスマホをDSPに入力する場合も同じです。DAPではナビ機能を代替することが出来ないため、ナビ案内時は、純正ナビで音楽を聴くことになります。

〇メディアプレイヤーのみの入力

据え置き型であることから充電の心配なくハイレゾ音源などの高音質音源を楽しめる手法です。これもナビ機能を代替することが出来ないため、ナビ案内時は純正ナビで音楽を聴くことになります。



DSPへ外部入力をフル装備した場合



[ ここまでのまとめ ]

トヨタとレクサスの純正カーオーディオの音が悪いのは、
片チャンネルの一部周波数を逆相化しているのと、
ドンシャリのプリセットイコライザーが原因。

音をよくするためには、純正オーディオで音楽を再生しない。
してもラジオかテレビだけ。

DSPを中核としたオーディオシステムを構築し、
DSPに様々な音楽再生機器を外部入力する。音楽はそれら外部入力で楽しむ。

外部入力機器は、スマホ、DAP、オットキャスト、メディアプレイヤーなどがあるが、予算と好みとで選ぶこと。
無論、予算次第で全て選ぶことも可能。

オットキャストは通信でネットとつながるため、純正ディスプレイオーディオの機能、特にナビ機能を代替できるうえ、ネットコンテンツが使用できる。
音楽のストリーミング再生や動画再生には向いている。ただしハイレゾは再生できない。

オットキャストを入れなかった場合は、
ナビ案内時は純正で音楽を再生せざるを得なくなる。

DAPとメディアプレイヤーは、
最も高音質な音源であるハイレゾ音源を再生できる。



純正ガン無視オーディオ お見積り依頼の方法について

エモーションのカーオーディオは、パッケージ化されたものが多く、スピーカー交換プランやDSPプランなどがありますが、純正ガン無視オーディオの場合、選択肢が多いのでなかなかパッケージ化することが出来ません。

そこで、お見積もりを希望される方は、まずは問い合わせフォームからのお見積もり依頼か、お電話にてご依頼ください。

以下の項目をお決めいただいてからお問い合わせいただくとお見積もりが早いです。

〇DSPを何にするか
   ・DSP.3S
   ・DSP PRO MK3
   ・DSP ULTRA

〇オットキャストを装着するかどうか
   ・オットキャストを装着する
   ・オットキャストを装着しない

〇外部入力をどうするか
   ・スマホ or DAP
   ・メディアプレイヤー
   ・外部入力なし

〇スピーカー交換プランをどうするか
   ・コンテンツ
「スピーカー交換プラン」参照

〇その他をどうするか
   ・サブウーファーを装着するかどうか
   ・パワーアンプをDSPプランのままで行くか(ALPINE KTP-600)別のものにするか



もし何をどうしたらよいかがわからない場合は、大まかな予算だけをお決めいただき、お問い合わせから始められた方が良いでしょう。



純正ガン無視オーディオに関するお問い合わせは、
下記からどうぞ

エモーション

TEL
092-939-0789

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