スピーカーの音をいくつに分けるのか・・・・・・

1つのスピーカーで、
低い音から高い音まで全て再生させようとするフルレンジ。

2つのスピーカーで、
中低域担当のウーファー、高域担当のツイーターの構成とする2WAY。

3つのスピーカーで、
低域担当のウーファー、中域担当のミッドレンジ、高域担当のツイーターの構成とする3WAY。

フロント 3WAY は、カーオーディオのスピーカー形態の中でも究極と言われ、その効果に反して大変難しく、失敗が多いとも言われます。

カーオーディオの究極の形、3WAY をどう作ったらいいのか、失敗しないためにはどうしたらいいのか、そのノウハウをご紹介します。








3WAYとは、

スピーカーは一つだけでは人間の可聴帯域を完全に再生することが難しく、大きさの異なるいくつかのスピーカーを組み合わせて可聴帯域全体を再生しようとする方法が標準です。

スピーカーは口径が大きいほど低音域が得意となり、小さくなるほど高音が得意となるため、人間の可聴帯域の音をいくつかに分割し、それぞれの帯域を得意とするスピーカーに音を出させることで、スムースな音楽再生を行う行為を「マルチスピーカーシステム」と呼びます。一般にマルチといえばマルチアンプシステムの事を指しますが、スピーカーを複数個用いる際にはマルチスピーカーシステムと呼んで区別しています。

マルチスピーカーシステムの最も一般的な方法はミッドバスにほとんどの音を受け持たせ、それが出しきれない高音をツイーターで補う方式で、これを“音を 2 つの道に分ける”ことから「2WAY」と呼び、更にミッドバスとツイーターの中間にミッドレンジ(スコーカー)と呼ばれるミッドバスよりも小さなユニットを入れて 3 つの道に分ける方法を「3WAY」と言います。これにサブウーファーを入れると 4 つの道となって 4WAY と言いたくなりそうですが、カーにおけるサブウーファーはほとんどの場合 60Hz以下の再生に限定され、本当に低域のみの再生で、音楽領域を再生することがほとんどないため、この「WAY」には含まずに考えることが多いようです。「フロント 3WAY+サブウーファー」などと言う表現が一般的です。

3WAY のメリットは、2WAY の問題点から考えるとわかりやすいでしょう。

モーター(ボイスコイル)はスピーカーの中心にあり、これが動くことで振動板(コーン)に振動を伝えて空気を動かします。モーターからエッジまでは距離がありますが、エッジ付近の動きは、モーターの動きと完全に同期していなければいけません。実際低音ではほぼ同期して動くことが出来ます。この動きを「ピストンモーション」と言います。
ところが動きが速くなる高音では、エッジ付近がモーターの速い動きについてこれず、“鳥が羽ばたくような動き”となってしまいます。これを「分割共振」といってスピーカーの音を悪くする最大の要因です。分割共振はコーン型のどの口径のスピーカーでも発生しますが、概ね再生帯域の中心付近から現れ始め、周波数が高くなるごとにその割合は増してきます。

16 ㎝位のミッドバスだと、500Hz 辺りから発生し始め、1kHz 付近から徐々に分割共振が増え、ツイーターの担当する約 5kHz 辺りまでの音は、分割共振の多い濁った音になっています。これが 2WAY の問題点です。分割共振は、口径が小さいほどその発生帯域は高くなるため、分割共振の発生する帯域がより高域側にある小さなユニットを、ミッドバスとツイーターの間に入れることで、分割共振の無いピストンモーションのみの綺麗な音を作り出すことが可能となります。これが 3WAY の最も大きなメリットです。

もう一つメリットを付け加えるなら、小口径ユニットによる取り付け性の良さを利用し、高い位置に取り付けることによる定位の良さもあげられるでしょう。逆にデメリットは 2WAY と比べ、取り付けや調整が格段に難しくなることです。



高音専用スピーカー、低音の入力は危険でコイルが焼損することがあります。カーオーディオの場合ほとんどがドーム型ですが、稀にリング型やリボン型、ホーン型などが存在します。'写真はリング型(ドーム型の口径は大半が 25mm ですが、より低い音'あくまで高音部での(を狙った 28mm や30mmと言った“低クロスタイプ”も最近では増えつつあります

中音域専用スピーカー、10cm 以下のものが多く、一般的には 52mm~80mm となっています。2WAY セットで販売されている 13cm のミッドバスをミッドレンジとして流用することも可能。13cm で低音を無視し中域の能率と音質だけにこだわった純粋にミッドレンジとして開発されたものもありますが非常に尐ないです。他にツイーターの拡大版と言えるドーム型ミッドレンジも存在します。

低音域~中低音域専用スピーカー。実際には 2WAY で使用可能となるよう中高音域まで再生できるように設計されたものが多く、純粋に低音~中低音のみで 3WAY専用設計のミッドバスは稀。しかし 2WAY 兼用型の方が寧ろ分割共振は少なく音も良くなる傾向があります。16 ㎝か 17cm が最も多用されますが、13cm や 20cm のもの、稀に 10cm でも使用可能なものが存在します。





現代の3ウエイシステムに絶対必要なDSP

3ウエイを構成するためには、DSPを用いたマルチシステムは欠かせません。
DSPも3ウエイ+サブウーファーまでが可能な8チャンネル出力以上のものを用いる必要があります。ただしカロッツェリアのTS-Z900PRSのみ、2ウエイシステムであっても3ウエイスピーカーを構築可能です。

本来であれば、DSPを用いたマルチシステムではなくても、パッシブシステムによる3ウエイスピーカーの装着は可能なのですが、高音質化のためのセッティングや調整が難しく、何度もカットアンドエラーが必要となることから、良い音を実現するのが比較的困難で、DSP登場以前の3ウエイは非常にハードルの高い存在でした。

DSPの登場により、スピーカーユニットの特性、設置位置、角度、車内特性などにマッチしたセッティングを行うことが出来るようになり、またタイムアライメントの実用化で各ユニットからリスナーまでの音波到達時間の差がなくなったことで、ユニットの配置にかかわらず非常につながりの良い音を作ることが出来るようになりました。

現在では、カーオーディオにはなくてはならない存在となったDSP、DSPで適切な調整を施すことで、カーオーディオはホームオーディオと同じ土俵に立てることが出来るようになります。これは2ウエイや3ウエイなどのスピーカーシステムにかかわらず、DSPの重要性は変わりません。しかし特に3ウエイスピーカーシステムに於いてDSPの重要性が増すのは、パッシブネットワークを使わず、DSP内のクロスオーバーネットワークを用いて帯域分割するマルチシステムを用い、スピーカー一つ一つを確実に制御調整できる状態にしないと、3ウエイはまともな音にすらならない場合もありうるからです。

DSPを用いた3ウエイシステム図

DSPに入力する音楽再生機は、純正ナビ(市販ナビ)/ スマホ(またはDAP)/ USBなどのメモリに入れた音楽を再生するメディアプレイヤーなどで、コントローラーを通じてDSPで切り替えて、どれで音楽を楽しむかを選択します。つまりDSPはプリアンプの役目も担っているわけです。

ストリーミング再生にはスマホが向いていますが、車内にWIFI環境があればDAPでもストリーミング再生が可能になります。スマホとDAPでは、DAPの方が音は良い場合が多いです。本格的に、ハイレゾサウンドなどを楽しまれたい場合は、メディアプレイヤーを装着する良いでしょう。DAPもハイレゾ再生が可能な機種が多いですが、専用設計のメディアプレイヤーの方が音質は上である場合も少なくありません。

アンプレスの単体DSPではパワーアンプが必要となりますが、3ウエイ+サブウーファーならば、7チャンネル(8チャンネル)分必要となります。図は4チャンネルアンプを2機使って8チャンネル分確保していますが、より高音質を求めるならできるだけ分けた方が良いです。2チャンネルアンプ1基、4チャンネルアンプ1基、サブウーファー用モノラルアンプ1基というパターンが良いと思います。

究極は、2チャンネルアンプ3基に、サブウーファー用モノラルアンプ1基という組み合わせでしょう。ただしアンプの数が増えると、全てを装着することが出来ない車種も増えます。また、装着するために余計工賃がかかってくるため、何が何でもより良い音を狙うんだという、強いお気持ちをお持ちの方に限られるでしょう。4チャンネルアンプ2機だと収納はそこまで苦労しません。

パワーアンプは6チャンネル分用意し、サブウーファーなし、或いはパワードサブウーファーの装着でも良いでしょう。DSPも、8チャンネル以上の出力を持つものを選びます。





3WAYユニットの選び方

カーの 3WAY におけるミッドレンジは 3 種類考えられます。

一つは日本製に多い 5cm から 8cm前後のの小口径コーン型ミッドレンジ。
これは最近では輸入物でも多く見かけるようになってきましたが、実際これが一番使いやすく、音も非常に良くまとまりやすいのでお勧めです。デメリットはコーン型であるため、エンクロージャー(バックチャンバー)が必ず必要となる点と小口径コーン故の能率の低さでしょう

次にヨーロッパ製に多いドーム型ミッドレンジ。
5cm くらいの口径の物が多いのですが、実は小さいようで意外と大きいのです。これはドームの構造上コイルが最も外側に配置されるため、それを包むケースと取り付けのためのフレームを入れると、実際にはコーンの 10cm とさほど変わらない大きさとなってしまうことがあります。メリットもデメリットも、このドームという構造に起因し、メリットは高域の伸びが良く、ツイーターの負担が減ること。スピード感が抜群でリアルな音がすること。デメリットはドームの指向性が強く、角度による音質の変化が大きい点です。カタログ表示よりも大きくなる体格も、取り付け性が悪くなるという点に於いてデメリットとなるでしょう。簡単そうで意外と難しいユニットと言えます。

最後はアメリカなどで多く見かける 10cm 以上のユニットを使う大口径ミッドレンジ。
これは耐久入力と能率が高く、大音量派に向いています。デメリットはバックチャンバーも必要となる上にその大きさから来る取り付け性の悪さでしょう。



52mm から 80mm までが標準。100mmを超える物を小口径に含めるか大口径に含めるのかは “ツイーターと同じ角度で取り付け出来るかどうか” で決まります。日本では最も多用されているミッドレンジの形態でしょう。小型を活かした取り付け性の良さを活かし、ツイーターと同角度で高い位置に取り付けることにより、調整の制度を上げ、定位感やステージ感を良好にし、HIFI 再生に向いています。

40mm程度のものから 100mmを超えるものまで存在します。基本的にはツイーターを大きくしたもので、ヨーロッパ製スピーカーでは最も多く用いられているタイプです。実際の口径よりも大型となり、88mm 口径のものではコーン型の 12cm とあまり変わらない体格になります。直径の大きさを気にしないのであれば小口径ミッドレンジと同様の方法で取り付け、HiFi 再生が可能です。

ツイーターと同角度で取り付け出来ない大口径ミッドレンジが当てはまります。大型で角度を付けることや高い位置への取り付けが困難なことから、ツイーターとは同角度に出来ず、小口径コーン型やドーム型とはシステムの考え方やタクティクス、ノウハウが異なります。大口径のため能率が高く、耐久入力も高めであることから、大音量派でありながら HIFI 再生を求める方に向いています。



3ウエイ用ミッドレンジのラインナップのない2ウエイスピーカーに
別のミッドレンジを組み合わせるときのコツ。

昨今では多くのスピーカーが3ウエイ用ミッドレンジをラインナップするようになりましたが、まだまだ多くの2ウエイスピーカーは3ウエイ用のミッドレンジをラインナップに持っていない場合の方が多く、特に低価格な2ウエイスピーカーにおいて、その傾向が顕著なようです。

では、ミッドレンジのラインナップがない2ウエイスピーカーを3ウエイにしようと考えた場合、どんなミッドレンジを組み合わせたらよいか、そのコツはこれです。

[同じ系統の振動版素材を持つミッドレンジを組み合わせる]

例えば想像してみてください。新聞紙を「くしゃくしゃ」に丸めるときの音を。誰が聞いても明らかに紙の音だとわかりますよね。では同じように、コピー用紙を「くしゃくしゃ」に丸めるときの音を想像してみてください。新聞紙とは異なる音ですが、それでも紙の質感を感じる事に変わりはありませんよね。

スピーカーは振動版(コーン)を振動させて音を作ります。しかしどうしても、振動版素材の質感が音に乗ってしまいます。これがスピーカーの個性をつかさどり、人の感性に働きかける一方で、スピーカーから出る音が、究極論として完璧にピュアな音にできない要因でもあります。

実はシステムスピーカーにおいて、この素材の質感が大きく異なったものであると、出てくる音に違和感を抱くことがあります。とはいえ、ハーモニクスを再生しないサブウーファーや、基音を再生しないツイーターの場合、この質感の違いが全く気にならないのですが、ミッドレンジとミッドバス間でコーン素材が異なると、あまりよくない場合があります。ミッドバスのコーン素材に、大まかでも一致したコーンを持つミッドレンジを合わせると良いでしょう。


振動版素材の大まかなくくり

・パルプ系
自然素材を水で溶かして紙のように形成したもの。パルプ、ペーパー、竹繊維、ウールなど

・樹脂系
プラスチック素材、ポリプロピレン、その他合成樹脂

・金属系
軽金属を用いたもの。アルミニウム、ベリリウム、セラミック(これは金属ではありませんが、質感は金属です)など

・ファブリック系
様々な素材を布状に織り込んだもの。ケブラー、クロスカーボン、布地をレジンで固めたものなど


このような大まかなくくりで良いので、質感がなるだけ近いミッドレンジを組み合わせます。



[同じ系統の振動版素材を持つミッドレンジを組み合わせる]

2ウエイスピーカーとミッドレンジが、価格帯が著しく異なるものであれば、これもまた違和感の原因となります。

オーディオ機器に於いて、スピーカーとパワーアンプに関しては、ローテクであり、既に理論は出尽くした感のあるユニットです。ただしローテクゆえに、様々な違いが音に露骨に反映される世界でもあります。物量も同じです。物量を投入したもの、即ち高価格品は、低価格品にどれだけ工夫をこらそうと決して超えることが出来ない存在です。

つまり、高級な2ウエイに低価格なミッドレンジを組み合わせるとか、逆に低価格な2ウエイに高級なミッドレンジなどと言った具合に、物量投入的にアンバランスな組み合わせは、間違いなく音に違和感を発生させます。



ではカロッツェリア TS-V173Sを例に挙げ、他メーカー同士の組み合わせによる3ウエイの例を挙げてみましょう。

カロッツェリアのTS-V173Sは、カーオーディオに興味を持ち始めた方からベテランまで、多くの人が知る有名スピーカー、コーン素材はクロスカーボンコーンです。
イートンのRSR-80は、カーボンファイバーにグラスファイバーをコンポジットした振動版。どちらもファブリック系の質感を持ちます。物量投入的にも近く、違和感の少ない組み合わせであろうと考えます。



カロッツェリアのTS-V173Sに組み合わせるもう一つの例として、お勧め3ウエイのカロッツェリアのコーナーでも挙げたTS-Z900PRSの上の部分、即ち、ツイーターとミッドレンジが同軸構造となった部分のみのモデル。TS-HX900PRSを組み合わせる方法もあります。
TS-V173SとTS-Z900PRSのミッドバスは、よく似た見た目をしていますが、全く別設計のものです。しかし振動版は同じクロスカーボンなので、その質感に違和感を覚えることはありません。



現在販売されている多くのスピーカーは、振動版がファブリック系か、パルプ系が多く、樹脂系や金属系は減少傾向にあるようです。一方で昨今では、クロスカーボンコーンとペーパーコーン、グラスファイバーコーンとカーボンコーなどと言った具合に、異なる素材を重ねて、或いは混ぜて用いる「コンポジットタイプ」が非常に増えてきています。

何れにしましても、コーン素材と価格帯が同じ系統のミッドレンジを選ぶことによって、ミッドレンジのラインナップのない2ウエイスピーカーであっても、違和感の少ない組み合わせを構築することが出来ます。





エモーションおすすめの3WAYスピーカーシステム

carrozzeria (カロッツェリア)

国産大手メーカーでは唯一と言ってもよい、ハイエンドクラスのスピーカーの販売を維持しているブランドです。
音の傾向は、ハイスピード&高解像度型。外国製のスピーカーとは異なる、何処にも似たものがない音の方向性を持ち、非常にアキュレート(正確)な音色とバランスの良さ、情報量の高さを特徴とします。また、CST ドライバーと名付けられた、ツイーターとミッドレンジ間に時間差のない同軸ユニットなど、エポックメイキングな製品を作り出すことでも有名です。


カロッツェリア RSシリーズ 3ウエイ
カロッツェリアのハイエンドスピーカー、“RS シリーズ”の 3ウエイスピーカーです。2ウエイセットのTS-Z1000RS にミッドレンジの TS-S1000RS を組み合わせた 3ウエイモデルです。発売からもう随分経つものの、音のアキュレート(正確性)、バランス、余韻の豊かさ、空間表現力の高さなど、群を抜いた性能を発揮します。今でも十分にハイエンドとして通用する、非常に優れたスピーカーユニットです。


カロッツェリア TS-Z900PRS
CST ドライバーと名付けられた、ツイーターとミッドレンジをポイントソース型同軸とすることで、音波到達時間を一致させるという、初めからタイムアライメントが出来ている構造を持つ 3ウエイスピーカーです。2 ウエイのシステムでも 3ウエイスピーカーを適切に鳴らすことが出来るため、3ウエイとしては比較的安価に構築できます。また音の輪郭がくっきりした、分離の良い音で、リアルな音像が特徴のスピーカーです。非常に高い人気を誇ります。


ETON(イートン)

ドイツのスピーカーユニットメーカーで、ホーム用からカー用まで幅広く生産しています。
ほとんどのラインナップに3ウエイ構成のためのミッドレンジが存在し、3ウエイ化するのに非常に都合がよく、最初にETONの2ウエイスピーカーを選んでおけば、3ウエイへのシステムアップを行う際に悩まなくて済みます。
音質は極めて自然で嫌味が全くなく、聴きやすさを持ちながらダイナミックな音を奏でることもできます。また低価格からハイエンドまでラインナップされており、ハイエンド級は怒涛の高音質レベルです。同軸スピーカーを除く、3ウエイが可能なラインナップは、下位モデルから並べると、PRSシリーズ、RSRシリーズ、PLUSシリーズ、CSRシリーズ、GRAPHITシリーズ、ONYXシリーズ、COREシリーズと豊富で、ご予算に応じたチョイスが可能です。

ETON Onyxシリーズ 3ウエイ
オニキスシリーズの3ウエイ。スピーカーコンポーネンツがバラで売られる、所謂バラコンタイプ。ツイーター"ONYX-28" ミッドレンジ"ONYX-80" ミッドバス"ONYX-16" この三種類で構成されます。
この上に、COREシリーズというスーパーハイエンドが存在していますが、価格的には一つ下のこのオニキスシリーズの方が現実的でしょう。音質は驚くほどの情報量と解像度、息をのむリアルさを手に入れることが出来ます。


ETON CSRシリーズ 3ウエイ
CSRシリーズの3ウエイです。ETONではちょうど中くらいに位置する機種です。パッシブレスのセパレート2ウエイ、CSR-16 Type-Mに、ミッドレンジのRSR-80を組み合わせます。
極めて聴きやすさに優れ、聴く者を疲れさせません。艶やかさと中域の張りを併せ持つので、ロック系やちょっと古めのポップスやディスコサウンドなどもそれっぽく鳴らします。J-POP系のノリの良い音楽も言葉がしっかり聞き取れるので音に説得力があります。


ETON PRSシリーズ 3ウエイ
イートンの最も低価格な3ウエイスピーカーです。このPRSシリーズはミッドレンジが独立しておらず、2ウエイか3ウエイかどちらかを最初から選択する必要があります。
価格は3ウエイとしてはかなりの低価格で、手軽に3ウエイの音を楽しみたいとお考えの方には最適でしょう。音質は低価格とはいえ立派なETONサウンドです。聞きやすさとダイナミックさを両立させ、古い音楽も新しい音楽もそつなく鳴らす器用さを持ちます。


MOREL(モレル)

世界中のオーディオマニアの間では知らぬ者無き、スピーカーの大ブランドに成長を遂げたイスラエルのスピーカーメーカーです。
私がモレルを最初に知ったころはイギリス製と聞いていたのですが、いつの間にかイスラエル製と呼ばれていました。どうやらイギリス生まれなのですが本社ごとイスラエルに引っ越した経歴があるそうです。
怒涛のスーパーハイエンドから、低価格までラインナップをそろえたメーカーです、ただしこのようなメーカーにありがちなミドルクラス以上はいいのに低価格シリーズは聞くに堪えないなどと言うことが全くなく、低価格こそモレルの真骨頂であると言わんばかりに、安くても音の良いスピーカーが多いのが特徴です。


MOREL ELATE CARBON PRO 63A
ELATE(イレイト)は、モレルでは上から二番目のラインナップです。最上位にはスプリーモシリーズがありますが、このイレイトシリーズでも十分ハイエンドです。
モレルの音は、深く、濃く、成熟した大人の味わいを持ちます。その質感が最も良く出ているのが、このイレイトシリーズであるように感じています。このタイプは、初めからマルチシステムを前提としているためパッシブネットワークがない、所謂パッシブレスタイプです。


MOREL MAXIMO ULTRA 603 Mk2
モレルの低価格ラインナップであるマキシモウルトラシリーズの3ウエイモデルです。
このシリーズの2ウエイモデルであるMAXIMO ULTRA 602 Mk2は大ヒットスピーカーで、それに合わせるミッドレンジのCCWR254というものも発売されております。MAXIMO ULTRA 602 Mk2にCCWR254を組み合わせて販売しているのがこのMAXIMO ULTRA 603 Mk2です。モレルの中では明るいサウンドで、テンポ感が良く、透明感を伴ったパワフルな鳴りのスピーカーです。


Focal(フォーカル)

これも世界中のオーディオマニアが知るところの超有名ブランド。フランスと言えばフォーカルと言ってもよい程、フランスを代表するスピーカーですが、実はフランスにはスピーカーユニットメーカーが多く、フォーカルのチーフエンジニアだった人が立ち上げたブラムをはじめ、DAVIS、AUDAXなどが知られています。
フォーカルは美音追求型で、その音色は極めて美しく、聴き辛さがほとんどありません。それでいて低音が他と比較しても非常に伸びており、またその鳴りは強力で、美しさだけではなく迫力あるパワー感を出すこともできます。非常に高い人気を維持しつづけているのも、美音と迫力の両立に成功したフォーカルならではと言えるでしょう。


Focal K2 Power M シリーズ 3ウエイ
フォーカルのK2Powerシリーズが、上位機種のUtopia Mシリーズのコンセプトで製作されたK2 Power Mシリーズの3ウエイです。ツイーター "FRAK" ミッドレンジ "3KM" ミッドバス "6.5KM" のバラコン販売されています。
低音の迫力と美音に加え、非常に高い情報量を発揮するユニットです。ハイエンドに迫るハイミドルクラス機と言えるでしょう。


Focal K2 Power EVO シリーズ 3ウエイ ES165 KX3E
「フォーカルの黄色いの」と長年呼ばれ続けるフォーカルのK2Powerシリーズの3ウエイ、ES165KX3Eです。最近モデルチェンジし、K2 Power EVOとなりました。
フォーカルは世間では女性ボーカルに向いていると言われますが、私はそうは思いません。本当に良いスピーカーはどんな音楽を聴いてもよく聴こえます。フォーカルはロック系もよいし、低音が伸びるのでEDM系やR&B系も気持ちよく鳴ります。


RS AUDIO(アールエス・オーディオ)

ドイツベルリンに本社を置くRSオーディオは、オーディオ機器の研究開発を主とし、全て自社工場で生産されるオーディオメーカーです。
スピーカーの音色は非常に質感高く、音のヌケが素晴らしく、耳障りな感触が全くありません。中域に張りがあり、情報量が濃く、全てハイエンド級と呼べる音質を持ちます。最上位には、RS Master3 MkⅡという、超ド級ハイエンドスピーカーを抱きます。
エモーションでも実績の多いスピーカーですが、2024年6月現在、モデルの入れ替え時期に当たり、あまり多くをご紹介できないのが残念です。





3WAY インストレーションのテクニックを紹介

ミッドレンジの取り付け方は、形態によって考え方が異なります。ドーム型は小口径コーン型とほぼ同じと考えていいでしょう、しかし大口径コーン型はそもそも基本的コンセプトが違います。そもそもコーン型の小口径と大口径との境は何 cm でしょう。それは A ピラーやドア上部へツイーターと同角度で取り付け出来る大きさのものを小口径と呼び、A ピラーやドア上部に取り付けが困難で、ツイーターと同角度にしにくい大きさを持つものを大口径と考えます。しかし 10cm から 12cm 位のミッドレンジは、ツイーターと同角度で取り付けできる車もあれば出来ない車もあります。つまりツイーターとの角度を一致できるかできないかで小口径か大口径かを決定するということです。

従ってここで言う大口径と小口径の定義とは、「A ピラーやドア上部に取り付け出来、ツイーターと同角度に出来るものを小口径、A ピラーやドア上部への取り付けが困難で、ツイーターと同角度にすることが不可能なものを大口径と呼び、その境目はくるまによりけり」と言うことになるでしょう。大口径小口径、各々メリットがあり、そのメリットがユーザーの好みに合うかどうかでどちらのタイプにするかを決め、それぞれのメリットを最大限に活かす方法で取り付けることが求められます。

ではそのメリットとは何かというと、小口径やドームは定位感、ステージ感の良さ、つまりより HiFi 再生に向いている事であり、大口径は能率の高さ、耐久入力の高さを活かしたパワーサウンドを生み出す事にあります。

小口径であれ、大口径であれ、コーン型のスピーカーである以上、エンクロージャーが必要となりますが、サブウーファーはボックスがエンクロージャーでありミッドバスはドアがエンクロージャー替わりです。従ってミッドレンジにもエンクロージャーは必要となります。エンクロージャーはその容積、或いは形状でスピーカーの低域特性が変わってくるため、良い低音を再生するためにはエンクロージャーを適切に作らなければなりません。

ところがミッドレンジは低音を出すわけではありません。従って必ずしも使用するミッドレンジの適正容積でなくてもよく、小さくても問題ないということになります。この事からミッドレンジを入れるボックスはエンクロージャーとは言わず、バックチャンバーと呼び区別します。チャンバーは小さくても良いですが、小さすぎると変な所にピークが出来てしまったりするので表を参考にしてください。ただし必ずしもぴったりとした容積で無くともよく、尐々前後してもそれ程音には影響しません。

むしろ注意すべきは内部定在波の発生で、定在波が発生すると音の一部が消えてしまうことで周波数特性がガタガタになるし情報量も欠損します。要するに音が悪くなってしまうわけです。定在波は並行面が多いと発生しやすく、要するに四角形の箱型に作ると最も発生してしまうわけです。逆に定在波が最も発生しにくいのが球状。つまりバックチャンバーは出来るだけ並行面を作らず半球状に作ると良いわけです。

次に取り付け位置ですが、良い定位、良いステージ感を生み出すには小口径ならばツイーターと同じ角度で取り付けることが前提となります。ただし運転席から見てツイーターと同じ角度で取り付け可能な位置はおのずと限定されます。①A ピラーにツイーターと共に取り付ける。②ドアアッパー。③ドアミラー裏側。このくらいしかないでしょう。大口径も基本的にはツイーターと同角度で取り付けることが理想ですが、10cm 以上のミッドレンジを A ピラーやドアアッパーに取り付け可能な車種は極めて限定的です。従ってドアにバッフルを用いて取り付け、ツイーターには 28mm か 30mmの大型のものを用い、ミッド~ツイーター間のクロスを3kHz前後で使うと良いでしょう。このあたりがコーン型ミッドレンジの小口径と大口径とでノウハウが異なる要因です。

左:MX-30へ、BRAX ML-1、BRAX ML-3、ECS RM-MBをインストールした例
右:BMWへ、Carozzeria 3wayをインストールした例


3WAY は分割共振の排除、更に定位の良さと、オーディオファンにとっては申し分のない性能を持ちますが、一方でフルレンジや 2WAY と比べ音作りが難しく、誤った方法で取り付けられた 3WAY により、3WAY そのものの評価を落としている事実もあります。しかし基本を押さえ、そこから外れずに実行することで、意外と簡単に出来てしまうものです。

フルレンジにも、2WAY にも、それぞれに良さがありますが、やはり何と言っても 3WAYによるソースの音を余すところなく再生する再現性は大きな魅力と言えるでしょう。ただしフルレンジや 2WAY には全く魅力が無いと言っている訳ではありません。分割共振があっても、音楽が魅力的に、感動的に聴こえればそれでいいのです。小口径フルレンジや低クロス型ではない 2WAY にも、魅力的な音のするスピーカーはたくさんあります。





エモーションでは 3WAY や、2WAY でも分割共振の尐ない「低クロス型ツイーター」による 2WAY に力を入れており、また尐しずつのグレードアップで最終的に 3WAY を目指している方を応援しております。更にエモーションでオーディオを取り付けされた全てのお客様は、以後難しい調整は何回でも全て無料となります。是非、3WAY によるオーディオシステムを導入され、鳥肌が立つような音楽の感動を味わってみられてください。



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