皆さんこんにちは、エモーション代表の橋本です。
本日は、先ごろ発売開始となったカロッツェリアの新型スピーカー、TS-V174Sについて解説します。
実は、パイオニアさんからデモ機を借りるよりも早くにご購入、装着されるお客様がいらっしゃいましたので、施工を兼ねた試聴となりました。
正直申し上げて、今回のVシリーズは、Vシリーズ史上最高傑作である可能性があります。
どんな素材が使われているか、どんな構造となったのかは、カロッツェリアHPの解説に委ねるとして。
私は実聴の感想を述べたいと思います。
・低音がリアルである点
試聴し始めて最初に気づくのは、低音の質感が大きく向上している点でしょう。奥行きが58㎜から61㎜と大きくなった分、ストロークが増えるので、低音はより低いところまで延びるようになったのは想像に難くありませんが、それでも、同社のハイエンドスピーカーであるTS-Z1000RSのミッドバスは奥行きが68㎜もあり、欧米のスピーカーの様に65㎜や70㎜を超えるものと比較すると、まだまだ世界標準からは小さいように思えます。
ただし、低音の限界(F0)までのエネルギーが全く違います。
通常コーン型スピーカーは、低音に行くにしたがって徐々に能率が下がっていきます。つまり音が低くなるほどエネルギーが下がっていくのですが、この下がり方が極端なスピーカーだと、全体的な音色がスカスカの印象となりがちです。ところが今回のTS-V174Sのミッドバスは、低音の限界まで、十分なエネルギーを維持していると感じ取ることが出来るのです。これはつまり以下のような効果を音楽再生にもたらすと想定できます。
・ベースの音階が明瞭になる。
・リズム感が良くなる。
・深く、重い低音から、真綿の布団を乗せられたような軽い低音まで変幻自在に表現する。
他のメーカーだと、ディナウディオのエソターシリーズやモレルのELATEシリーズのミッドバスがこれに近い低音の質感でしょうか。判りやすく低音の質感を擬音で表現し、「ズシ~ン」「ドンドン」「パンパン」に分けた場合、同じカロッツェリアでも低価格のCシリーズが「パンパン」と言うのに対し、これまでのVシリーズは「パンパン」と「ドンドン」の中間くらい。今回のTS-V174Sは「ドンドン」と「ズシーン」の両方を持っているといった感じかもしれません。却ってわかりにくかったかな?
上手のようなイメージと言えばわかりやすいでしょうか。
何れにしましても、低音の再生能力は格段に向上していると感じました。
・高音が自然である点
もう一つ特執すべきは、高音の自然さでしょうね。
高音用のスピーカーであるツイーターは、ドーム型が多く使われています(リング型はドーム型の変形です)カーオーディオに用いるドーム型ツイーターの径は25㎜が圧倒的に多く、他に20㎜や28㎜、稀に30㎜でほぼ100%だろうと思われます。それらのツイーターは、総じて、4kHzか8kHz、或いはその両方にピークを発生することが多く、またそれは価格の安いツイーターほど極端になる傾向があります。TS-V174Sのツイーターは36㎜とやや大きめですが、これはバランスドドーム型で、コーン型の特性も一部兼ねています。明らかに低い領域まで再生させることを狙ったツイーターであると観て取れますね。
今回のTS-V174Sは、これらドーム型特有のピークを良く抑えてあるなと言う印象です。尤もドーム型である以上、ピークを消すということはできないのですが、それでも高級機並みに抑え込んである感じです。そのため高音が非常にナチュラルで、嫌な刺激をほとんど感じません。
”10万円以下の価格帯のツイーターであるという概念は捨てて聴かれた方が良いでしょうね”
ツイーターはハイミドルクラスからハイエンドに匹敵するバランスの良さを持っています。
・クリアで明瞭な解像度を発揮する中音域
やはり、カロッツェリアの提唱する「Open and Smooth」コンセプトは間違いではないと再認識させられます。
これはミッドバスの分割共振歪みが強く出る中高音域をカットし、その帯域までツイーターに担当させるというもので、分割共振による音の小こもり感や情報量の劣化などを排除し、スムースで高解像度での再生をさせるようにするものです。ツイーターが価格から考えるとややオーバークオリティに感じるのも、中音域のクリアさを、2ウエイで成しうる最高度に仕上げたかったからなのだろうと想像できます。これ以上を望むのなら3ウエイしかないでしょう。
・結論、非常にカロッツェリアらしいスピーカー
長くカロッツェリアスピーカーと付き合ってきた個人的感想を述べさせていただけるならば、カロッツェリアは一貫してハイスピード・高解像度となる設計を以て、リアルで生々しい音の再現を目指しているというコンセプトを感じます。その意味で、今回のTS-V174Sは、音楽をよりリアルに聴きたい方、生々しく、臨場感にあふれた音を聴きたい方、そしてそれらを税込み¥79,200という、得られる音質からは幾分安すぎる価格で手に入れたい方々にとって、最優先の選択候補になりうると思われます。
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