皆さんこんにちは、エモ親方です。
本日は、低価格ですが非常に優れたスピーカー、グランド・ゼロ GZIC165.2SPLをどう使いこなすかという話です。
グランド・ゼロ GZIC165.2SPLについて
このスピーカーは、ドイツ、GROUND ZERO社の製品で、価格は、2024年4月時点で税込27,500円(最近値上げが頻繁なため、価格表示には日付が必須ですね)セパレート2ウエイスピーカーの最低価格ラインナップとなります。
グランド・ゼロ以外も含めた全体的な高音質スピーカーとしても、かなり低価格な部類になります。
しかしこのスピーカーは、3万円以下のスピーカーとしては、過去にあまり例がないほどの高音質を発揮しています。
スピーカーというものは、1924年のダイナミックコーン型スピーカーの発明以来、構造はそう大きく変化しておりません。
ホーン型やリボン型など、コーン型とは異なる形状のものも存在しますが、使用方法が限定されたり、どこか不自由をもたらす部分があったりするなど、コーン型の適用範囲の広さにはかないません。
つまりダイナミックコーン型は、お箸やナイフ・フォークのように、もうそれ自体が完成された形で、変更することが全く出来ない存在となってしまっているのではないか。そんな疑問すら浮かんできます。
ほぼ100年間、その基本形状を大きく変えることができなかったスピーカーにとって、革新を与え得るものは、素材以外になく、新素材による新しい音の表現方法を獲得したスピーカーが、聴衆に受け入れられた時、それが時代のトレンドとなって生き残ってきたのだろうと考えます。
そのため、スピーカーは良い素材と物量を投入するほど、音質が向上するということになり。翻って、価格の差が正直に出やすいオーディオユニットだということもできます。
これは低価格志向のユーザーにとって大変残念なことです。価格=クオリティだともいえるわけですから。
ただし一点だけ、物量とは関係なく、音質に大きく影響する要素があります。
それは技術者の腕です。
技術者のセンスと言い換えた方がいいかもしれませんね。
技術者の持つ技術力、引き出しの多さ、適所にリソースをつぎ込むセンス、これらは物量というコスト増に頼らなくても、スピーカーを高音質化させる重要な要素なのだと思います。ただしそのようなスピーカーは、5年や10年に1度くらいしか現れません。
グランド・ゼロ GZIC165.2SPL は、その典型的なスピーカーの一つなのではないかと考えております。
グランド・ゼロ GZIC165.2SPLに、技術者のセンスが現れた部分とは、
私が思うその特徴を敢えて挙げるとするならば、
〇 奥行きが68㎜という絶妙な深さに設定されているという点。
奥行きが68㎜までであれば、国産17㎝スピーカーが装着できるとメーカーのガイドブックに記されている車であれば、ほぼ入るでしょう。これが奥行きが70㎜を超えると、僅かですが装着不可能な車が増えます。
〇 奥行きが68㎜であるがゆえの、低音の伸びの良さ。
多くの国産スピーカーは、奥行きが57㎜前後であり、あまり深くないのが特徴です。
そのため、コーンのストローク幅が小さく、低音の伸びが不足がちになります。
欧米ブランドのスピーカーであっても、60㎜~65㎜が最も多く、奥行きがそれ以上のスピーカーは徐々に少なくなります。
ただし中には70㎜を超えるものもありますが、インストール性が若干悪くなります。
68㎜という奥行きは抜群で、多くの車にインナーバッフルで搭載可能な上、コーンが十分にストロークできる幅が確保されていることになりますので、低音がよく伸びます。
〇 スライスコーンによる分割共振歪みの低下
分割共振歪みとは、高音にいくにしたがって、即ちコーンの振幅が早くなるにしたがって、センターにあるボイスコイルの動きにエッジ付近がついてこれなくなり、鳥の羽ばたきのようにコーンの中心と端とで動きが異なる状態のことを言います。
こうなると、ミッドバスの音がこもったり、中高域にピークが出来たりしますので、音の特性は悪いものになります。
これをスライスコーンという、半月状の厚みの薄い部分を作ることによって、低減しているのであろうと思われます。
〇 分割共振歪みの低減化による、ツイーターのコストダウン。
分割共振歪みが多いと、ミッドバスの高音域は暴れます。そのため、ミッドバスの中高音域から上はカットし、ツイーターに中高音域まで頑張ってもらう必要があります。従ってツイーターの高性能化が必要となります。
ツイーターはミッドバスよりも高音質化、高性能化にコストがかかり、ツイーターを高性能化すると、2ウエイセットの価格は急激に高くなります。そのため、中には高級スピーカーの中にはツイーターだけを高級化したのではないかというものも存在します。それでも、ミッドバスはそのままでもツイーターを高級化すると音質の向上は著しいものです。
GZIC165.2SPLでは、ミッドバスの工夫により、低価格なツイーターのままでも、分割共振歪みの少ないクリアな中高音域を実現できています。
〇 欠点
価格からツイーターを高性能化できなかったのはやむを得ないことであります。そのために、ミッドバスの中高音域から上のクオリティーを上げることに努めているのだと推測しています。
従って、ツイーターは他の低価格スピーカーと同様の欠点を持ちます。
ツイーターは価格が安いものほど、物量が投入できないため、強い癖を持ちます。
GZIC165.2SPLのツイーターも、8kHzから12.5kHzにかけて強いピークを持っており、それが独特の癖となっています。
この癖がお好きならいいですが、気になる方はイコライザーで8kHz、10kHz、12.5kHzをちょうど良いと感じるところまで下げたらよいでしょう。
グランド・ゼロ GZIC165.2SPL のスピーカー交換プラン。
では、GZIC165.2SPL を活かしきるスピーカー交換プランをご提案します。
まず、スピーカー交換プランには、tech(テック)プランと、MOD(モッド)プランが存在しています。
それぞれの違いを簡単にご説明します。
tech(テック)プラン
MOD(モッド)プラン
これらの違いをまとめると次のようになります。
techプラン | MODプラン | |
ドアバッフル | カロッツェリア製5シリーズ | カロッツェリア製5シリーズ |
バッフルマウント | ビス止め | フローティングマウント |
スピーカーケーブル | カナレ4S6 | カナレ4S8 |
スピーカーケーブル配線 | ドア内まで配線しません。 | ドア内まで配線します。 |
ドア防振 | スーパースタンダードver2.0 | PAC1 ver2.0 |
システム | 付属パッシブ使用 | マルチorバイアンプ |
ドアバッフル以外はすべて異なっていますね。
基本的にtechプランは、音響加工をライトにし、お求め安くしたもの。
MODプランはより音が良くなる音響加工を施したものです。
価格も異なります。
techプラン ¥62,700(税込み)
MODプラン バイワイヤリング(バイアンプ)¥96,800(税込み)、マルチ¥93,500(税込み)
全てスピーカー本体、パーツ類、取り付け費、音響加工費、消費税込みの価格です。
techプランはスピーカー付属のパッシブネットワークを用いた通常のシステムとなりますが、
5,500円追加でtechのメニューのままシステムだけマルチシステムにすることが可能です。
MODプランのバイワイヤリングシステムは、ナビにフロント2ウエイ用のクロスオーバーネットワークが内蔵されていない場合に選びます。アルパイン、ケンウッド、パナソニック、カロッツェリア楽ナビなどがそれにあたりますね。
また、DSP機能がほとんどない純正ナビもバイワイヤリングシステムが優れています。
ナビやデッキにフロント2ウエイ用のクロスオーバーネットワークが内蔵されている場合はマルチシステムを選択します。
カロッツェリアサイバーナビ(901シリーズ以降)、ダイヤトーンサウンドナビ、カロッツェリアディスプレイオーディオシリーズ、カロッツェリアFHシリーズの一部、その他。
純正ナビや、今お使いの市販ナビに、DSPを装着された場合にも、マルチシステムを選びます。
低価格ですが、めったに出ない逸品であるグランド・ゼロGZIC165.2SPL
エモーションでも視聴可能です。
スピーカー交換プランのコンテンツにも詳しく記載されています。
http://www.emotion-jp.com/speaker_replace_plan/