皆さんこんにちは、エモ親方です。
いつも白石にばっかりブログを書いてもらっていますが、
インストーラー目線で、出来上がった車を「どや!」とばかりに披露するのが面白いだろうと思い、
彼に託しています。
あ、因みに、この絵は僕ではありませんよ。
アンディー・ウォーフォールによるゴッドファーザー(マーロン・ブランド)です。
さて、昨今はナビ・オーディオが純正標準装備となっている車が増えましたね。
また、標準装備となると、必ず音質が落ちると思っているのは僕だけでしょうか。
特に昨今顕著なのは、プリセットイコライザーが入っている純正ナビです。
プリセットイコライザーとは、ユーザーが操作できない、あらかじめ設定されているイコライザーで、
”車室内環境に応じて適切な調整”とされていることが多いですが、その実、極端なドンシャリであることがほとんどです。
それもそのはず、純正スピーカーは非常に粗悪なものが多く、大音量にすると不快な音しかせず、聴くに堪えません。
そこで小音量でも低音がしっかり聞き取れるよう、ドンシャリのイコライジングにしてあるのだろうと推察します。
また、トヨタ車のメーカー純正ナビは、
中低音域の一部の周波数を、左右で逆相出力するという、禁じ手を使ってきています。
まぁ、純正ナビ・オーディオのひどさについては、また改めて書きましょう。
そんなオーディオ機器がすでに装着されている車の場合、
頼りになるのがDSPです。
DSPとはデジタルシグナルプロセッサーの略で、音を調整する機能を持つ機器のことを言うのですが、
そもそも壊れてしまっている車室内の音響を修復するために使用するものであると、私は定義します。
詳しくは、エモーションHPの、デジタルプロセッサー徹底解説に詳しく書いてありますので、
システム価格だけをお知りになりたい方は、その簡易版もあります。
ご興味がおありの方は是非ご一読ください。
さて、このところ、特に欧米のメーカーから、新たなDSPが続々発売されてきております。
国産が少ないのはなぜでしょうね、
思うに、DSPを最初に商品化し普及させたのは日本のメーカーでしたが、
日本のメーカーはその後ナビに注力したため外付けDSPまでは手が回らず、
また、欧米では日本よりも早くナビの標準装備化が進んだため、
必要に迫られて欧米を中心に外付け型のDSPが増えていったのだろうと思われます。
ともあれ、今後、国内のカーオーディオでもますます重要度を増すであろうDSPですが、
これほど増えると何を選べばよいのかが難しくなります。
何よりも、低価格でより高い性能を得ようとすれば、それなりに頭を使う必要があります。
以前より、最もコストパフォーマンス(CP)、
即ち、価格に対する性能の高いDSPは何なのだろうと考察、テストを行ってまいりました。
その結果をお話しする前に、まずはDSPにはいくつかの種類があることを知っておいてください。
昨今の国産市販ナビには、格安モデルにまでDSPが搭載されてきていますが、あくまで簡易的なものが多く、
フルスペック機能をもつDSPを搭載しているナビは、
カロッツェリアのサイバーナビ、並びにサイバーナビXモデル。
更に、ダイヤトーンのサウンドナビ・プレミアムモデル。
このくらいしかありません。
とはいえ、高性能DSP搭載のナビは、今回のテーマからは外れますのでこれ以上の解説は無用です。
問題はDSP単体機。
これらは別名、外付けDSPとも呼ばれます。
ナビが純正標準装備であったり、
今お使いのナビがDSP機能は簡易的であっても、ナビ機能や画面の大きさが気に入っている場合などに、
これらDSP単体機(外付けタイプのDSP)を用います。
それには、アンプ内蔵タイプとアンプレスタイプがあります。
どちらを選ぶかは、好みとご予算になろうかと思われます。
一般的には、アンプ内蔵タイプの方がCPが高く、これ一台で済むことから取り付け費用も低くなります。
中にはハイエンドクラスの内蔵アンプタイプDSPなども存在していて、結構侮れないですね。
ちょっと予算はあるけど、出来るだけシンプルに装着したいとお考えの方には、
ハイエンド級のアンプ内蔵DSPでもよいでしょう。
しかし、アンプ内蔵DSPには欠点があります。
それは、後からより優れたパワーアンプを追加しようと考えた際、
DSPごと交換しなければならなくなるという点です。
現在市販されているアンプ内蔵DSPは、そのほとんどがRCA出力を持たず、
そのため、最初はシンプルにアンプ内蔵DSPを装着するだけで済ましちゃおうと思っていても、
何年か経って、もっと良い音が欲しくなり、高音質なパワーアンプを追加しようとした際に、
最初に買ったアンプ内蔵DSPは活かせないという事になります。
ではどうすればいいのか、
目的は、低価格で高性能なアンプレスDSPを探すことと、
同じく低価格高性能なパワーアンプを探すことです。
特にパワーアンプの分野は、ちょっと良くなるだけでも金額が倍になる世界です。
とことん安くて、尚且つ音質もアンプ内蔵DSPに搭載されているD級アンプよりも良くなければなりません。
そこで目を付けたのは、次のDSPとアンプでした。
このDSPが登場したのは去年だったと思います。
一度、お客様のご希望で車に搭載したことがあったのですが、
インストール後の調整の際、やけに音が良いことに気が付きました。
音の方向性は、同じHELIXでは、DSP.2よりも最上位機種のDSP PRO MkⅡに近いと感じました。
この音質ならお客様にもお勧めできると感じ、その後何台か装着し、そして確信したことがあります。
このDSPは、MINI(ミニ)と表記されていますが、
それは同社のDSP.2のミニ版ではなく、最上位機種のDSP PRO MkⅡのミニ版であると。
音質は、PRO MkⅡとそっくりそのままと言ってよいでしょう。
どこを簡略化(ミニ化)したのかと言えば、入出力の数。
DSP PRO MkⅡが入力8ch、出力10chに対し、MINIは入力4ch、出力6chとなっています。
しかしこれは、フロント3WAYシステムを組む気がない、リアスピーカーも鳴らさないという方であれば、
足りるチャンネル数です。
その後も力を入れて販売してみましたが、多くの車で大幅な音質向上を果たしています。
では、これに何のアンプを組み合わせたのでしょうか。
超激安で高音質でなければならないと言う、アンプとしては矛盾するテーマを満たさなければなりません。
驚くほど、超小型のD級パワーアンプです。価格も¥16,000と超低価格。
私も最初はほとんど期待していませんでした。
アンプ内蔵DSPの内蔵アンプと同レベルで鳴ってくれれば良いという程度の考えでした。
ではなぜこれを選んだのかと言うと、価格とサイズです。
価格¥16,000と言うのは、乱暴な言い方をすれば、ちょっとした焼肉屋での夕食3回分です。
これをご購入され、数年使用してから、もっと良いアンプに買い替えるのであれば、
焼肉3回分と言うのは惜しくない価格です。
アンプがなければ鳴らすことすらできないアンプレスDSPにとって、
取り敢えず繋いでおくことができるパワーアンプと言えるでしょう。
また、サイズが非常に小さいというのもメリットです。
取り付け費用も安くなり、車の中にちょっとした隙間さえあればどこにでも装着できるため、
大がかりな加工やアンプラックの製作も無用です。
小型であるという事は、工賃面でもメリットがあるという事になります。
ところがこのアンプ、意外と音が良かったのです。
お客様には、将来良いアンプを入れるまでのつなぎとしてお使い下さいと説明の上で装着しているアンプなのですが、
音離れが良いために、定位感が出やすく、音に艶があり、余韻や響きも豊か。
流石に低音のエネルギー感や、音場感はそこそこですが、それでも価格を考えれば出来すぎと言えるでしょう。
そこでパイオニアに直接伺ってみました。
「おう!お前んとこの安かアンプ、あれ何であげん音がいいとや!訳ば言うてみんしゃい」
と博多弁で尋ねたところ、
「やおなか技術者の暇んしとんさったけん、こいば設計しなさったとです。がば濃ゆか音ん出とっでしょ。」